東演HP>>公演情報>『臨時病室』
 
     
『長江〜乗合い船』 で深い感動を呼んだ、沈虹光の最新作!
今回も「他人同士」の共同生活の中から、笑いと涙あふれる「人の絆」を紡ぎ上げます。
2004年「北京小劇場フェスティバル」で四部門を制した名作が、早くも日本上陸!
     

働きづめに働いて女手一つで三人の子供を育て上げた農村に暮らす

劉大香は、ちょっとした腫物で、元経理の李天佑は心臓の持病で、ある大都市の病院に入院している。

二人が通されたのは会議室。

担当の看護婦・王艶艶

「この年の異常気象で病人が続出、ベッドが不足して会議室までを病室に使用しているの」と説明する。

はて、さて、この『臨時病室』 で、男女二人の老人が同居することになる・・・。

     
   
     
 
李天佑 劉大香 王艶艶
笹山栄一
矢野泰子
岸並 万里子
     
 
   
 
作     >> 沈 虹 光
演出    >> 鈴木 完一郎
照明    >> 鵜飼 守
衣裳    >> 荻野 緑
制作    >> 横川 功
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訳     >> 菱沼 彬晁
美術    >> 川口 夏江 
音響    >> 柳原 健二

舞台監督 >> 古館 裕司
 
 

 
97年の夏、次年度の公演計画の中でどうしても一本決め手に詰まっていたときにそれこそ”ワラをもつかむ思い”で菱沼彬晁さんの翻訳「長江・乗合い船」を読んだ。
流れるような訳文の中で展開する人物の交流、葛藤、まさに一気呵成、ぐいぐい引き込まれながら読み進むにつれ高まる気持ちを抑えるのに苦労した。
人物が目の前で勝手に動き出し、生き生きと生活を始めたような感度を覚えた。
久しぶりに興奮する作品に出会えた瞬間だった。
そして躊躇なく菱沼さんに電話し、「来年東演で上演したい。作家にお取次ぎを・・・」とお願いした。
同時に演出を誰にするか、配役は、装置はどんな風に・・・実に楽しい創造の出発だった。
そして、上演。予想をはるかに超える観客の反応だった。
庶民の心に響く喜びや悲しみ、怒りや猜疑心、厳しさや優しさは、中国も日本も違いのあろうはずはなく、同じ人間であることの笑いと涙にあふれた感動となって伝わってきた。
まさに同時代に生き、同じ船に乗り合わせた人間同士という大テーマが浮かび上がってきた。
そして再演を経て全国に広がっていった・・・中国現代劇とのまさに劇的な出会いだった。
99年の再演の時には、沈虹光さんが新作を準備しているということだったので、その『幸せの日々』と併せて上演した。
そのとき、沈虹光さんに「まだ出来上がってない戯曲の上演を決めるなんて、中国では考えられません。
もし、私が新作を書くことが出来なかったらどうしますか?」と質問された。
「日本では特殊なケースではありません。何よりも『長江・乗合い船』を書いた作家です。
何の不安もありません」と答えたのだった。
今思うと、惚れ込んだ強みがそうさせたのだろうと思う。

劇団東演の上海、武漢、広州公演

02年には『長江〜』と近石綏子作の『そしてあなたに逢えた』の2作品で上海、武漢、広州の
3都市をめぐる劇団東演としては初めての訪中公演が実現した。これには話劇人社の経験と、
沈虹光さんはじめ中国の演劇人の大きな努力があったからこそ、実現できたのである。
そして翌年、上海話劇芸術センターを日本に招き、共同制作として『www.com』『幸せの日々』を上演した。
とくに同センターのプロデューサーの朱大坤さんの演劇に対する真摯な情熱にあらためて信頼の絆を強くした思いだった。
そんな積み重ねの中で、04年6月、沈虹光さんの新作『臨時病室』を観に北京へと出かけた。
菱沼さんからの情報だ。とても温かい舞台で、是非上演したいと思った。
終演後ビールを飲みながら沈虹光さんと東演での上演について遅くまで話し合った。
ここでも何年かにわたる共同の仕事で心を開いた演劇人同士の、
「みなまで言うな、一緒にやろうぜ」(という私の思いこみ)だったのではないかと思っている。
そして05年秋、武漢市の湖北省話劇院を招き、中国版の『臨時病室』と菱沼彬晁訳の
劇団東演版の競演が実現した。
それぞれ味わい深い舞台を創り出せたと思う。
”他人同士”の共同生活の中から人生の機微を温かい目で描く彼女の作品は、広く観客の心をつかみ、ファンも多い。
『長江〜』に続けて全国公演を実現させたいと思っている。
これからも日中演劇交流を重ねながら、単なる交流の域から真の創造へと発展させたいとも願っている。
面白い仕事だ。
最後に、これは言わずもがなだが、今までの仕事が順調に積み上げられたのは、話劇人社の存在が大きかったことが前提であったことを特に記したい。
伊藤巴子理事長はじめ各理事の方々に深く感謝申し上げたい。

                                             劇団東演 横川功